2020.05.20

当研究室で開発したプラズマ援用研磨法を焼結AlN基板に適用することで、脱粒フリーな表面を得た内容に関する、孫栄硯君(D2、JSPS DC1)が第一著者の論文がCIRP Annals誌に掲載されました。

AlNセラミックスは高硬度、電気絶縁性、低熱膨張係数および高熱伝導率(アルミナの約5~7倍)などの特性を有することから、ヒートシンクやマイクロエレクトロニクス作製用の基板に適している。AlNはGaNと近い格子定数と熱膨張係数を有するため,GaNのエピタキシャル成長用基板として期待されている。しかしながら、AlNセラミックスは焼結体材料であるため、従来の機械的な加工プロセスを適用した場合、AlN粒子間の結合強度が弱いため、表面から粒子が脱落する「脱粒」という現象が生じやすい。実際、加工後の表面には、脱粒により形成されたと考えられるピットが数多く存在し、高品位な平滑表面が得られていない。これらの問題を解決するため、我々は当研究室で開発したプラズマ援用研磨法(Plasma-assisted Polishing: PAP)法の適用を提案している。PAPにおいては、プラズマにより生成した反応性ラジカルの照射により高硬度な表面を改質して軟質化する。つぎに、軟質砥粒や極低研磨圧力条件を用いて、軟質化した表面層のみを除去することで、スクラッチ痕や脱粒ピットが無い表面が高能率に得られる。本論文では、PAP加工における焼結AlNセラミックス基板の加工において脱粒現象が抑制され、従来の機械研磨法の限界を大きく超えるSa表面粗さ3 nmを達成し、PAP法の有用性を示した。

R. SunX. YangK. ArimaK. KawaiK. Yamamura
High-quality plasma-assisted polishing of aluminum nitride ceramic
CIRP Annals. 69 (2020) 301-304.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0007850620301189?via%3Dihub#!