2021.05.17

YANG XIAOZHEさん(D3、JSPS DC2)が第一著者の『電気化学機械研磨における4H-SiC(0001)材料除去率に対する支配的な要因とそれらの動作メカニズム』に関する論文がApplied Surface Science 誌に掲載されました。

 スラリーレス電気化学的機械研磨(ECMP)は、高性能パワーデバイス用半導体材料であるSiCウエハの研磨に対して非常に有望な研磨技術です。当研究室が開発したスラリーレスECMPは、陽極酸化によりSiCの表面を軟化し、軟質固定砥粒を用いた機械研磨により軟化層を同時に除去します。したがって、本手法における材料除去率はSiC表面の陽極酸化レートに依存します。これは、従来の機械研磨法とは完全に異なり、単純なプレストンの法則では完全に評価できません。スラリーレスECMPの材料除去率を向上させるためには、SiCの陽極酸化メカニズムを解明して陽極酸化レートを向上させる必要があります。
 本論文では、電解液温度、表面損傷、ドーピング濃度、および表面ひずみがSiCの陽極酸化レートに及ぼす影響を定量的に調査しました。これらの要因はすべて、SiCの陽極酸化を促進する効果を有することがわかりました。SiCの陽極酸化において加工損傷とドーピングが酸化レートを促進する効果は、加工によって生じた残留ひずみとドーピングによるひずみに起因していることがわかりました。また、SiCウエハの表面に任意の大きさの圧縮・引張ひずみを印加できる陽極酸化装置を作製し、陽極酸化レートとSiC表面のひずみの大きさとの関係を定量的に調査しました。その結果、圧縮ひずみと引張ひずみの両方が、SiCの陽極酸化レートを増加させることをあきらかにしました。また、導電性原子間力顕微鏡(C-AFM)観察により、スクラッチ近傍の電流量分布と酸化量分布が対応することをあきらかにしました。
 以上の研究成果はApplied Surface Science誌に掲載されました。
 
X. Yang, Xu Yang, K. Kawai, K. Arima, K. Yamamura
Dominant factors and their action mechanisms on material removal rate in electrochemical mechanical polishing of 4H-SiC (0001) surface
Applied Surface Science 562 (2021) 150130.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S016943322101206X