2021.08.04

劉念君(D3、JSPS DC2)が第一著者の『機械研磨とプラズマ援用研磨によって研磨されたモザイク単結晶ダイヤモンド基板の表面およびサブサーフェスダメージの比較』に関する論文がDiamond & Related Materials誌に掲載されました。

 単結晶ダイヤモンド基板は高性能パワーデバイスやヒートスプレッダ用材料として有望な材料ですが、物質中で最も硬度が高い難加工材料のため、研磨が極めて困難です。当研究室ではプラズマ照射により、難加工材料を高能率かつダメージフリーに研磨できるプラズマ援用研磨(Plasma Assisted Polishing: PAP)技術を、マイクロ波プラズマ化学気相蒸着によって合成された大面積のモザイク単結晶ダイヤモンド(Single Crystal Diamond: SCD)(100)基板の研磨に適用する研究開発を行っています。
 本論文では、研磨によって引き起こされる表面およびサブサーフェスにおけるダメージを、PAPおよび従来の機械研磨(Mechanical Polishing: MP)を施したSCD基板に関して比較しました。走査型白色干渉顕微鏡(Scanning White Light Interferometer: SWLI)による表面観察では、MP後のSCD基板表面にはスクラッチや深いピットが観察されましたが、PAP後では全く見られませんでした。走査型カソードルミネッセンス(Cathode Luminescence: CL)測定では、MP後に形成されたスクラッチの近傍にはダメージに起因する高強度のバンドA発光が観察されましたが、PAP後の表面には観察されませんでした。共焦点マイクロラマン分光測定では、MP後のモザイクSCD基板には残留応力に起因するダイヤモンドラマン線のピーク位置シフトと結晶構造の破壊に起因する半値全幅(FWHM)の拡がりが観察されましたが、PAP後では観察されず、PAPの優位性を示すことができました。
 以上の研究成果は Diamond and Related Materials 誌に掲載されました。


N. Liu, H. Yamada, N. Yoshitaka, K. Sugimoto, R. Sun, K. Kawai, K. Arima, K. Yamamura
Comparison of surface and subsurface damage of mosaic single-crystal diamond substrate processed by mechanical and plasma-assisted polishing