2022.02.01

YANG XIAOZHEさん(D3、JSPS DC2)が第一著者の『4H-SiC(0001)の電気化学機械研磨における電荷利用効率と副反応』に関する論文がJournal of The Electrochemical Society誌に掲載されました。

 単結晶SiCは高性能パワーデバイス用半導体材料として非常に有望な材料ですが、高硬度、高脆性、化学安定性を有するため、研磨が極めて困難です。当研究室では陽極酸化によりSiCの表面を軟化させると同時に、軟質固定砥粒を用いた機械研磨により軟化層を高効率かつダメージフリーに除去する、スラリーレス電気化学機械研磨(Electrochemical Mechanical Polishing, ECMP)技術の研究開発を行っています。
 本論文ではSiC-NaCl水溶液系における陽極酸化現象をモデル化するために、SiCの陽極酸化とECMPにおける電荷利用効率と副反応を調査しました。SiCの陽極酸化とECMPにおける電荷利用効率は、電流密度が20 mA/ cm2以下では一定であり、電流密度が30 mA /cm2を超えると大幅に低下しました。本結果より、SiCの陽極酸化システムにおいては反応の優先順位が存在しており、電荷利用効率がSiC表面の電位で支配されていることを解明しました。SiCウエハの電位がAg|AgCl参照電極に対して25 V以下の場合、SiC表面の陽極酸化が支配的であり、電荷利用効率が高いのに対し、印加電位が25 V以上ではH2OとCl-の酸化反応が主に発生し、電荷利用効率は大幅に低下します。本論文で明らかとなった電位印加条件を適用することにより、SiCウエハに対して電気エネルギー損失が少なく効率の高いECMPが実現できます。
 以上の研究成果はJournal of The Electrochemical Society誌に掲載されました。

X. Yang, Xu Yang, H. Gu, K. Kawai, K. Arima, K. Yamamura
Charge Utilization Efficiency and Side Reactions in the Electrochemical Mechanical Polishing of 4H-SiC (0001)
Journal of The Electrochemical Society 169 (2022) 023501.

https://iopscience.iop.org/article/10.1149/1945-7111/ac4b1f