2022.02.10

劉念君(D3、JSPS DC2)が第一著者の「プラズマ援用研磨における単結晶ダイヤモンドの材料除去メカニズムに及ぼす研磨圧力と摺動速度の影響」に関する論文がDiamond & Related Materials誌に掲載されました。

 単結晶ダイヤモンド基板は高性能パワーデバイスやヒートスプレッダ用材料として注目されていますが、物質中で最も高硬度な難加工材料であるため、研磨が極めて困難です。当研究室ではプラズマ照射により、難加工材料を高能率かつダメージフリーに研磨できるプラズマ援用研磨(Plasma-Assisted Polishing: PAP)技術を、マイクロ波プラズマ化学気相蒸着によって合成された大面積のモザイク単結晶ダイヤモンド(Single Crystal Diamond: SCD)(100)基板の研磨に適用する研究開発を行っています。
 本論文では、SCD基板に印加する研磨圧力とPAPにおける研磨プレートとSCD基板間の摺動速度の影響を体系的に調べた。より高い研磨圧力または摺動速度は、SCD基板のより高い材料除去率(MRR)をもたらし、8 mm角のSCD基板に対する最高のMRR値として5.3 μm/ hを得ました。PAPを62.5、81.3 kPa等の低い研磨圧力で行った場合、等方性の化学的除去作用が支配的となり、結晶方向に応じた表面テクスチャのない原子スケールで滑らかな表面が生成されましたが、PAPを143.8、246.9、350.0 kPaなどの高い研磨圧力で行った場合、機械的に誘発された異方性の除去作用が支配的となり、<100>方向に沿った溝構造を有する粗い表面が生成されました。同じ研磨圧力で摺動速度を増加させた場合、MRRは増加しますがPAPの材料除去メカニズムと表面粗さおよび形態は研磨圧力に応じて一定のままでした。さらに、PAP処理されたSCD基板のARXPS測定と断面STEM観察により、PAPを適用したSCD基板には原子スケールで表面損傷がないことが確認されました。
 以上の研究成果は Diamond & Related Materials 誌に掲載されました。


N. Liu, K. Sugimoto, N. Yoshitaka, H. Yamada, R. Sun, K. Kawai, K. Arima, K. Yamamura
Effects of polishing pressure and sliding speed on the material removal mechanism of single crystal diamond in plasma-assisted polishing
Diamond & Related Materials 124 (2022) 108899 (16pp)