2023.03.15

山村教授、有馬准教授、孫助教が第25回(2022年度)の精密工学会高城賞を受賞されました!

 山村教授、有馬准教授、孫助教が『プラズマによる表面改質とプラズマオートドレスにより難加工材料の高能率ドレスフリー無歪研磨の実現』により、第25回(2022年度)の精密工学会高城賞(JSPE Takagi Award)を受賞されました。おめでとうございます!
https://www.jspe.or.jp/wp/wp-content/uploads/about_us/news/news230315b_1.pdf

 今回の賞は、(株)ミズホ(ビトリファイドボンド砥石の開発)と大阪大学(オートドレスプラズマ援用研磨技術の開発)が共同開発した成果が高城賞の受賞にふさわしいものと評価され、(株)ミズホの永橋潤司氏、野副厚訓氏、(株)アルバックの川合健太郎氏(元大阪大学)と共同受賞しました。
 
 現在、SiCやGaNのような高硬度かつ化学安定性を有する難加工材料の最終仕上げ方法としてスラリーと呼ばれるアルカリ等の薬液と砥粒を含む懸濁液を用いたCMP(Chemical Mechanical Polishing)プロセスが用いられていますが、スラリー研磨では、材料の表面欠陥がアルカリ成分によって浸食されて形成されるエッチピットのために表面粗さが悪化したり、凝集による砥粒の粗大化によりスクラッチが形成されたりします。また、スラリーの購入および廃棄する際の処理コストが大きい等、非常に多数の問題点を有しています。スラリーの代わりに固定砥粒(砥石)を用いたドライ研磨法では、以上の問題を解決できますが、研磨中に砥粒の摩耗により生じる「目つぶれ」や、砥粒の間に切りくずや砥石の破片などが詰まることにより生じる「目詰まり」などの問題が研磨速度低下の原因となります。ドレッシング(目直し)によって砥粒の突き出しを再び確保することで、砥石の切れ味を取り戻せますが、頻繫なドレッシングは加工能率の低下とコストの上昇に繋がります。これらの問題を解決するため、当研究室と株式会社ミズホが共同研究を行い、フッ素系プラズマとビトリファイドボンド砥石を用いた高能率ドレスフリードライ研磨法を開発しました。
 フッ素系プラズマとビトリファイドボンド砥石を用いたプラズマ援用研磨法(PAP)の場合には、砥石のボンド材主成分であるシリカがフッ素系プラズマで生成されるフッ素ラジカルによりエッチングされ、リアルタイムにドレッシング作用が生じたためにドレスフリーな研磨プロセスが実現できました。また、フッ素系プラズマの照射により被加工物である窒化アルミ(AlN)焼結基板の表面に除去されやすい改質層(AlF3)が形成されたので、プラズマ援用ドレッシング(PAD)とプラズマ改質の相乗効果により、より高い研磨レートが得られました。
 本研究成果がPrecision Engineering 誌に掲載されました。
受賞論文↓

R. Sun, A. Nozoe, J. Nagahashi, K. Arima, K. Kawai, K. Yamamura
Novel highly-efficient and dress-free polishing technique with plasma-assisted surface modification and dressing
Precision Engineering 72 (2021) 224-236.