2023.09.09

大久保助教が第一著者の「過酸化水素分解用のPtフリーMn酸化物触媒の作製」に関する論文がThin Solid Films 誌に掲載されました。

 コンタクトレンズの過酸化水素(H2O2)分解用の触媒として、Ptが使用されていますが、貴重なPtがコンタクトレンズ容器と共に1ヶ月で使い捨てられています。そこで、我々は、PtフリーでH2O2の分解を可能とするMn酸化物(MnOx)触媒を作製することにしました。コンタクトレンズ用のH2O2分解触媒として利用するためには、35000 ppmのH2O2を6時間以内に100 ppm以下まで分解することが求められます。水熱含侵法によってAl基板上にMnOx膜を作製したMnOx/Al触媒では、6時間後の残留H2O2濃度が737 ppmであり、H2O2を分解したものの分解性能は不十分でした。そこで、Al基板をあらかじめ粗面化してからMnOx膜を作製しました。MnOx膜の表面積を増加させたMnOx/凹凸Al触媒では、6時間後の残留H2O2濃度が36 ppmまで低減し、目標値である100 ppm以下を達成しました。さらに10回繰り返し使用後の残留H2O2濃度は100 ppmを維持し、触媒耐久性が優れていることも実証しました。
 これらの結果は、Thin Solid Films誌に掲載されました。
 
Y. Ohkubo, D. Fukuoka, Y. Seto, M. Nishino, K. Endo, K. Yamamura
Preparation of platinum-free manganese oxide (MnOx) catalyst film for H2O2 decomposition in contact-lens cleaning 
Thin Solid Films 782 (2023) 140041.

https://doi.org/10.1016/j.tsf.2023.140041