2023.08.30

西野実沙さん(D3)が第一著者の「高周波用プリント配線板作製に向けたCu箔とフッ素樹脂(PTFE)の直接接着」に関する論文がRSC Advances誌に掲載されました。

 典型的なフッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)は、比誘電率と誘電正接の両方が非常に低いため、高周波用プリント配線板の誘電体(基板材料)として使用することが期待されています。しかし、PTFEは、接着性が悪く、そのままでは表面にCu配線を作製することができません。さらに、高周波の電流を印加すると、電流が誘電体であるPTFEとCuの界面近傍に集中し、電気が流れた時のロス(伝送損失)が大きくなってしまいます。そのため、PTFEの表面粗さを増加させずに、接着性を向上させる必要があります。
本論文では、He熱アシストプラズマ処理によってPTFEの表面粗さをほとんど増加させることなく接着性を大幅に向上させました。熱アシストプラズマ処理したPTFEと表面粗さが小さいCu箔とを熱圧縮することによって、接着剤無しで強力に直接接着させることに成功しました。本手法は、高周波用プリント配線板を作製する上で有用な技術と言えます。
 これらの結果はRSC Advances誌に掲載されました。

M. Nishino, T. Kodama, K. Yamamura, Y. Ohkubo
Direct adhesion between Cu foil and polytetrafluoroethylene without increasing surface roughness for high-frequency printed wiring boards
RSC Advances 13 (2023) 25895–25903. 
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2023/RA/D3RA03839D