2023.08.09

楊暁喆さん(博士後期課程修了生、元JSPS DC2)が第一著者の「電解液を含浸した多孔質材料を用いた4H-SiCのスラリーレスECMP局所研磨」に関する国際共著論文がCeramics International誌に掲載されました。

 本論文は当研究室で開発しているスラリーレスECMPプロセスを3次元の数値制御加工に応用するため、局所加工が可能な加工ヘッドを開発した結果について述べている。陽極酸化領域と研磨領域を局所化するために、ワークサイズよりも小径の多孔質材料を工具として用いた。負極と導通した電解液は多孔質材料を通して陽極に接続された加工対象基板の接触部に浸み出して電流が流れ、接液した接触部のみが陽極酸化される。また、多孔質材料を一定の研磨圧力で押し付けながら回転することにより局所的な除去加工が行える。
 本論文では、単結晶SiC基板に対して基礎実験を行い、多孔質工具を用いることで局所的な酸化領域が形成され、酸化特性は多孔質材料のポア径や印加電圧に依存することを明らかにした。また、ECMP加工を行った結果、多孔質ガラスを工具に用いた場合は酸化膜が残留して加工が進行しなかったのに対し、ビトリファイドのセリア砥石(#8000)を多孔質工具に用いた場合は加工が進行し、研磨前後の粗さが79.2 nm Sqから2.2 nm Sqまで低減した。以上の結果より、多孔質工具を用いることで、スラリーレスの3次元数値制御ECMP加工が可能であることを示せた。


X. Yang, Xu Yang, Z. Jiang, K. Yamamura
Selective electrochemical mechanical polishing of 4H–SiC surface employing porous material impregnated with electrolyte
Ceramics International 49 (2023) 34569-34581.