2024.01.12

西野実沙さん(D3)が第一著者の「X線光電子分光法における化学シフトの量子化学計算によるプラズマ処理したフッ素樹脂表面の官能基の同定」に関する論文がApplied Surface Science誌に掲載されました。

 ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)に代表されるフッ素樹脂は接着性が低いため、接着性を向上させるために表面処理を施して、フッ素樹脂表面に酸素を含む官能基を生成させたことが多く報告されています。しかし、これまでの研究では、生成した官能基の種類や量を正確に同定されていませんでした。
 そのため、本論文では、量子化学計算を用いてX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)における化学シフト量を計算し、得られた計算値を用いてプラズマ処理したPTFE表面のXPSスペクトルをピーク分離し直すことで、プラズマ処理によってPTFE表面に生成した官能基を正確に同定しました。XPSスペクトルをピーク分離し直した結果、PTFE表面の多くのF原子がH原子に置換されているということ、そして、CH–OHやCH2–Oなどの官能基が多く生成していることがわかりました。
 以上の結果はApplied Surface Science誌に掲載されました。

M. Nishino, K. Inagaki, Y. Morikawa, K. Yamamura, Y. Ohkubo
Identification of chemical species on plasma-treated polytetrafluoroethylene surface by ab-initio calculations of core-energy-level shift in X-ray photoelectron spectra
Applied Surface Science 655 (2024) 159369.

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0169433224000837